2008/01/19

バイアウトファンド

バイアウトファンド―ファンドによる企業価値向上の手法 (MBAコーポレート・ファイナンス)
松木 伸男 大橋 和彦 本多 俊毅
中央経済社
売り上げランキング: 40808
おすすめ度の平均: 4.0
4 MBOの手順書
3 よくできた「学習者の一冊目」
5 今や地方中小優良取引先もターゲットとなったバイアウトファンド
4 バイアウトを正確に理解し、実務に使える本






このシリーズの『M&Aとガバナンス』が良かったのと、共著者のうち2人が進学先の教授だったので、読んでみました。

あと、M&Aという枠組みをファンドという視点で眺めるとどうなるのかな?という疑問もあったので。純粋に投資としてM&Aを見る立場ですからね、ファンドは。


感想としては、Amazonの書評にもあるように、良い入門書という感じでした。
ファイナンスという学問的観点から見れば、特に目新しいことはなにもないし、企業価値評価のところもざっくりと書いてるだけで、計算も簡単です。最初から最後まで、電車だけですっと読み終われます。
と、ちょっと物足りなく思ってたのですが、あとがきを見て考えを変えました。
バイアウトという経済活動は、純粋にファイナンス理論のみで理解できる活動なのということが、逆に本質なのだと。
経営者・ファンド・銀行・投資家のそれぞれが、純粋にファイナンス理論の枠組みの中で、それぞれの利益を追求する行動がバイアウトである。そして、その利益相反を回避する方法なども、またコーポレート・ガバナンスに適った合理的な方法なんですね。なので、一通り知ってた俺にはすっと入ってきたわけです。
そう思うと、バイアウトという経済活動は、なんと魅力的で、なんと大変なんだろうと最後のあとがきのところで、理解できました。日本企業にありがちな、馴れ合いとか惰性はまったくなく、純粋な経済活動なだけに、厳しいだろうと。最後の章で、ファンドの exit について読むと、特にその辺が実感できます。
また、MBOによるバイアウトの説明が主なので、いま流行りのMBOやLBOの仕組みもよく理解できました。
ただ、節税効果とかってどうなるんだっけ?という細かいところは、全然さわってなかったので、他の本で理解してみないといけないですね。
まぁ、とりあえず、値段もそんなにしないので、少しでもバイアウトやプライベートエクィティに興味がある方は読んでみてもよいのでは?

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