今回は特に民法やら民事訴訟法の概念が出てきたので、非常に難しかったですね。
ただ、ビジネスにおける法律解釈の感覚をわずかながら理解できることができたと思います。よい授業でした。
さて、具体的なトピックとしては基本合意書における契約条項の法的拘束力に関する内容になります。佐山・服部などの講義では、基本合意書はまったく法的拘束力を持たないと言ってますが、これは当然ディールの中身の部分に限定された主張になります。
通常は、いくつかの契約条項に限定して法的拘束力を持たせます。秘密保持契約・相互の許可なしには公表しない・独占交渉権などが該当します。
今回の授業で重点的に取り扱った UFJ・住友信託銀行事件では、最後の独占交渉権違反を法的にどう取り扱うのか?ということが裁判で争われました。
事件自体は新聞でも取り上げられたし、ネットでも沢山記事があるので見てもらうことにして、ここでは概要だけ説明します。
UFJが信託営業事業を住友信託銀行へ売却交渉をしていたところ、信託営業を売却したところで企業として存続できる見込みがなくなったので、住友信託銀行との独占交渉権を破棄して企業自体を東京三菱と統合した、というのがあらすじになります。
この事例に関しては、まず住友信託銀行は統合差止めの仮処分を裁判で争い、その裁判で負けたあとは損害賠償請求の裁判をしています。(こちらは和解)
授業での焦点は前者の差止め請求に関する解釈です。そもそもM&Aの基本合意における独占交渉権はどこまで法的拘束力を持つのか?違反した場合に、違反した交渉を差止めることは認められるのか?
法律オンチの俺にとっては、そもそも法的拘束力がある契約条項があっても、違反した場合にどこまで相手方に請求可能かなどとは考えたことがなかったですね。
賠償請求ができるのか?そもそも違反した行為自体を差止められるのか?などの段階の違いというのは考えたこともなかったです。
さて、東京地裁から最高裁まで一貫してこの契約条項自体に法的拘束力があることを認めたものの、最終的な最高裁判決では差止めは認めませんでした。
その理由としては、UFJの経営状況を考えると、仮処分が妥当とは考えられない(若干法律的には間違ってるかも…)ということをあげています。
ポイントは最高裁はM&Aにおける独占交渉権をどう取り扱うべきかという問題には立ち入らず、「今回の件は差止め請求が認められるべき状況ではない」という判決で逃げてしまったところです。
岩倉さんの主張は、「そもそも本契約条項には差止め請求権を認めるべきでない」とのこと。
ちょっと民法やら民訴法の概念が出てきたので、文章にはできないのですが、実務的にも本契約条項に差止めを認めることはできずに、請求権自体を棄却するのが合理的とのこと。今回裁判所がそこに踏み込まなかったところは、日本の裁判官がビジネスを分かってないので、難しい問題を逃げたのでは?とまで言ってました。(笑
しかし、実際には今回の訴訟を受け実務上は、独占交渉権などに違反した場合は違約金いくらを支払うべしと明記することで、訴訟を回避するようになったようですね。
いやぁ、久々にハードな授業でしたよ。でも、おもろかった。最後に参考文献で配られた書籍を備忘録としてのせておきます。立ち読みしてみようっと。
岩倉 正和 佐藤 丈文
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