この講義は、あまり法律ガチガチという感じではなく「M&Aの法務」「コーポレートガバナンスと法」「ベンチャー企業と法」などのための入門講座という位置づけらしく、実務家にもとてもわかりやすい講義ですな。
毎回、受講前はめんどくせーとか思いながら受講するのですが、終わるとよい授業だったと満足して帰ることを繰り返しています。(笑
今回は前回に引き続き種類株式に関するトピックと、株式発行に関するトピックをメインに取り扱いました。
いままでの条文やテキストでなく、今回は実際のプレスリリースや定款変更等の株主総会付議資料等を使ったので、結構おもろかった。
まずソニーのトラッキングストックの発行に伴う定款変更の資料。
会社法の108条を駆使して、種類株式を設計することの具体例がわかってよかったです。旧商法時代に作ったので若干いまとは違うらしいですが、いやいやかなりマニアックに定款に書くんですね…
次は Google の複数議決権株式に関する資料。IPOのときの資料の抜粋です。
日本と違い、直接複数議決権株式が組成できるとこが違いますね。日本は単元株の異なる株式を応用して擬似的に複数議決権株式を作るわけなので。
ここでトピックが変わり株式発行に関する講義に変わりました。
というわけで,株式発行が取締役決議で可能なことによる弊害として,例のモック事件のプレスリリースや東京証券取引所の読みました。
株式併合により発行可能株式数に対する発行済み株式数を大幅に減らした上で,既存株主の株式を大幅希薄させるような大量の新株予約権を特定第三者に割り当てたという事件です。
会社法上は,授権枠(発行済可能株式数)というのは設立時には発行株式数の4倍以下と定められているのですが,発行済み株式数を減らした際に定款変更をして授権枠をわざわざ変えなくよいとなっているので違法にはならないわけですな。
とはいえ,当然ながら取締役会が好きに株主構造を変えることができてしまうのはおかしいということで,証券取引所ルールで対応すべきだと以前から主張されていた有名な抜け穴だそうです。
つい最近になって「安心して投資できる市場環境等の整備に向けて」という自主ルールを作ったのも,このモック事件等の再発防止策という意味合いが強いそうです。てか,そのためでしょ。(笑
ここで個人的に疑問に思ったのが,なぜ会社法でガバナンス強化のためにこの手の株式発行を禁止しないのか?ということなんですが,東京証券取引所に勤めている同期に聞くところ,会社法を厳しくすると自由度が下がるため基本的な部分しか会社法では定めるべきではないんだとか。
会社法上はガバナンスのきいていない会社も許容されるし,それに投資したい投資家がいればそれも許容する。
それを取引所ごとに,様々なルールを作り,投資家は取引所を選んで売買すればよいということなんでしょうね。ガバナンスが強い会社に投資したければ東証一部にすればいいし,そうじゃなければ新興国に投資するみたいな感じかな?
この辺の会社法,金商法,取引所ルールの住み分けが最近すこーしずつわかってまいりましたね。
さて,ということで,これで株式と新株予約権に関する講義を終わりにしたかったらしいのですが、受講生の中でM&A系の講義を受けてない人が結構いるということで敵対的買収防衛策における種類株式・株式発行について次回取り扱うそうです。
最近、あまり前へ授業が進まないので布井先生は省略したそうでしたが…(苦笑
0 件のコメント:
コメントを投稿