「M&A取引の方法と適用規制法」について前回・前々回と株式譲渡・新株発行・合併・事業譲渡と説明してきたのですが、今回の株式交換・株式移転・会社分割でようやく説明終了になります。結構、横道にそれがちで、またその横道が非常に面白くためになるのですが、おかげでなかなか進まないという感じでしょうか。(笑
株式交換・株主移転では基本的なスキームの説明がありました。われわれ金融コースにとっては服部さんの授業で基本スキームは理解しているので、この辺はばっちりですな。
日本では買収と見られることを防ぐために株式移転を使った持株会社制度が多いというのも既知です。面白かったのは統合比率が1:1なんてのはありえないよねーという岩倉さんのコメント。
そりゃそうですよ。歴史もビジネスも違う会社どおしの企業価値がまったく一緒というのはありえないっすよね。いい時代だったなぁと昔を回顧してらっしゃいました。
んで、次に会社分割。
これも岩倉先生曰くはなし始めると、一生終わらないということで、基本スキームと会社法での改正ポイントのみ説明されました。「後は教科書読んどいて」だそうです。(苦笑
会社法の改正ポイントで一番大きいのは「事業に関して有する権利義務の全部または一部」ということで分割単位を任意に決められるようになったということですね。理論上はペン一つでも分割できると。
会社分割は偶発債務の切り離しや、債権債務の個別同意が不要な(合併と違って対抗要件はいります)ことから、合併と事業譲渡のいいとこ取りとして設計されていることから、実務上は可能なら会社分割が使われるそうです。
また若干法律解釈問題っぽかったですが、「履行の見込み」要件の緩和というのもおもろかったですね。
合併でも同じなのですが、債務超過会社を合併できるか?吸収分割できるか?という議論になります。旧商法ではできなかったとのこと。
そもそも合併や吸収分割という法律行為が何なのか?と考えたときに、もしそれが現物出資と同等に「何かを対価に事業や会社を得る」のように法解釈した場合は、債務超過会社を合併することは不可能になります。なぜって?既存株主にとっては必ず金銭的損害になるわけで、損害に対して出資するこは不可能だからです。
とはいいながら、ノウハウや特許、人的資源、既存顧客などを得るために、債務超過会社を合併するようなニーズは実務において間違いなく存在するわけです。特殊な場合かもしれませんが。
なので、株主総会決議さえあれば債務超過会社でも合併・吸収はいいだろう!という解釈に変わったそうです。実務的な事象に法解釈を合わせたという感じですね。ただし、岩倉先生曰く株主総会決議があればよい、という主張には必ず株主は合併等のメリットデメリットを理解できるという前提があるため、ディスクロージャがしっかりしてないと問題が発生するとのこと。
確かに、取締役が株主をごまかしてしまえば、なんでも通るというのは若干危険ですね。
というように、基本的な枠組みを理解していると、岩倉さんの横道の説明の部分がいろいろ理解を深めてくれていいんですよね。初学者には混乱を招くかもしれませんが。(苦笑
何度も繰り返しになりますが、服部先生の講義なら書籍なりを読んで基本を押さえた上で受講するのがいいかもしれませんね。特に秋学期のM&Aストラクチャ論の最終課題は非常に勉強になるので、是非。
さて、駆け込みで「M&A取引の方法と適用規制法」が終わりましたがので、最後に「M&A取引契約の成立と内容」ということで、案件のフローの法的観点による説明というトピックにうつりました。
秘密保持契約、デューデリ、基本合意、株式譲渡契約、クロージング、PMIなどの一連のフローの概要説明のみ今回行われました。次回は基本合意時の独占交渉権にどこまで法的拘束力があるのかということを、例のUFJと三井住友案件などを例にして説明されるそうです。
ここからは服部先生の授業から、昨年の乗越先生のM&Aの法務(国際事業再編)の知識が活かせそうですね♪
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