2009/05/06

株主買取請求権に関する裁判

さて、M&Aの法務(国内法務)の前回の配布資料をざっと目を通してみました。いろいろな資料が配布されましたが、やはり商事法務の記事が一番みやすいっすなー

秋学期の実務金融取引法のレポート課題をするときにも読みましたが、結構商事法務っておもろいわけです。服部先生の「M&Aと企業価値評価」と「M&Aストラクチャ論」を1年目にしっかりと聞いたからこそ、理解できる面白さですよね。この2つの授業と、服部先生の教科書は読めば読むほど勉強になりますなー♪

というわけで、レックスホールディング事件とカネボウ事件の商事法務のまとめをしておきます。法律用語とか詳しくないので、自分の意図したとおりにかけてるかどうか疑問なので、詳細はぜひ商事法務をご覧ください。(苦笑


レックス・ホールディングス事件東京地裁決定の検討 商事法務1837号
レックス・ホールディングス事件東京高裁決定の検討 商事法務1848号
実際の事実関係とかは商事法務の記事を読んでもらったり、下のサイトを見てもらうとして個人的な印象を述べます。下記のサイトも結構くわしいので、おもろいっすよ。
レックス事件の東京高裁決定を読む
要は業績修正後にMBAを発表・TOB実施。過半数以上取得後に総会特別決議をもってすべての株式を全部取得条項付種類株式に変更。そして少数株主の持株が端株になるような比率で、全部取得条項付種類株式を普通株式を対価にして交換。端株の株主に対して金銭交付。
この金銭交付の価格に不満をもった少数株主が、反対株主買取請求権を行使し裁判所に対して公正価格の決定を求めたという事件です。
個人的にポイントに感じるのは業績下方修正でしょうか。これが経営者が恣意的に虚偽報告をもって株価を下げたと判断するには、最終的な決算値が下方修正よりも上ぶれしないといけないと思うのですが、実際は更に下方修正を行った上で下ぶれしたとのこと。これがなかなか微妙ですよね。
んで、東京地裁判決では、旧レックス側の提示した買取価格=TOB価格(約23万円)を認めた判決になってます。
理由としては、TOB価格に対して大多数の株主が賛成したことと、対抗買収提案がなかったことからTOB価格が妥当であるという判断をしたということ。
このTOB価格はTOB発表前の株価の一ヶ月平均+20%弱の買収プレミアムで計算されており、業績下方修正前の株価よりはかなり低い価格で提示されています。
ちなみに判決では、直前平均株価+将来上昇した場合の期待キャピタルゲインを公正価格とすべきと主張してますが、これはどうも理解不能で、株価って将来の期待も織り込んで決まるんだからダブルカウントとしか思えん…
さて、少数株主側は当然納得できないので抗告。
そして東京高裁の判決では、大多数の株主のTOB応募や対抗買収提案がなかったことは、TOB価格が公正であったことの根拠にはならないと判断されます。根拠としては、TOB応募に反対した株主の買取請求額の判断に応募が多数であったことを用いるのは反対株主買取請求権の趣旨に合わないということと、TOB期間が短かったため対抗買収提案するためのDD期間はほぼなかったためとしています。
そのうえで、業績下方修正前も含む6ヶ月間の平均額+20%のプレミアムで38万円が妥当との判決を出しています。
20%のプレミアムについては地裁判決同様に将来の期待分だそうです。相変わらず意味不明だし、20%という根拠が謎です。なぜプレミアム分をすべて少数株主が得ることが出来るのかも疑問。
商事法務の記事では、この東京高裁の判決にはかなりダメ出しをしてます。
そもそも支配従属関係でなく、独立企業間の買収価格についてはずぶの素人である裁判所がTOB価格がをまったく無視して最初から公正価格を計算しなおすことはまったくもって不合理だとしています。また、俺の疑問にあったとおり価格上昇期待分はダブルカウントだと指摘します。
更に対抗買収提案はDDせずとも宣言だけして、旧レックスの買収を遅らせることは出来たはずなので、DD期間が短いというのは意味がないし、そもそも業績下方修正は正しい決算値へ近づく修正をしたのにそれ以前の株価をもって価格が決まるのもナンセンスと主張しています。
個人的には商事法務を書いている大田弁護士の言い分は至極もっともと思う一方で、裁判のような客観的な事実の積み上げで判決を出すような場合はどこまで理論的な主張が通るのか興味を持ちました。
すべて納得間がないから、一般論的にほどほどの価格で判決を出さざるを得ない裁判所も無能っぽいけど、他にどうするのかも疑問。
というわけで、最高裁ではどのような判決が出て、それが今後の実務にどういう影響を与えるか非常に興味ありですねー!
カネボウ株式買取価格決定申立事件の検討〔上〕 商事法務1837号
カネボウ株式買取価格決定申立事件の検討〔下〕 商事法務1838号
こちらは別にそんなに面白い裁判ではないのです。個人的には。
カネボウの営業譲渡に対する少数株主の反対株主買取請求権行使に関する裁判です。ポイントは東京地裁が非上場の継続事業の価値評価はDCF法による計算が妥当であるとして、正式にDCF法で公正価格を計算しているところです。
商事法務なのに、まるでバリュエーションの教科書のような議論が展開されています。
DCF法みたいな主観的なパラメータが非常に多い手法を裁判の判決に使うってのはどうなんですかね?
結果的にはカネボウ側(約130円)と少数株主側(500円~1500円)の間の一株360円という地裁判決となり、両者とも不満とし抗告しています。
これも最終的な判決がどうなるかが、今後のこの手の価格評価に影響を与えるんでしょうねー
結果が楽しみな裁判ではあります。

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