2009/05/04

M&Aの法務(国内法務)week4

今回まではトピック的な講義ということで、近時のホット・イシューで「利害相反関係」に関する話題を取り扱いました。

事前配布資料がレックスホールディング事件やカネボウ事件だったので、てっきり株主買取請求に関する授業と思ってました。ただ、どちらももしかすると春学期中に最高裁の判決が出るかもしれないということで後回しにするんだとか。

さて、利益相反関係というと会社法上の「特別利害関係の概念」というものは結構不明確なんだそうです。

株主総会における特別利害関係というと利害関係にある株主の議決については不公正であれば申し入れにより「取り消し可能」と定義されるのに対し、取締役会の特別利害関係というのは利害関係にある取締役の議決権は即無効という違いがあります。

ただし、なにをもって特別利害関係にあるか?などという部分は結構曖昧なんだとか。

さて、具体例のところではM&Aにおける「利害相反」について2つのポイントが解説されました。1
つ目は敵対的買収防衛策の文脈での利害相反。
ここでの利害相反というのは、主要株主と少数株主の間の利害相反になります。
例えば日本放送事件で、日本放送の第三者割当増資が違法とされたのは主要株主の利益のみを図ろうとして少数株主をないがしろにしたからです。
確かに主要株主は議決権により自らの利益は必ず確保できるわけなので、株主平等原則から少数株主の利益を確保することは当然にして取締役には要求されるし、主要株主にも要求されていいわけですね。特にアメリカでは明確に、主要株主というのは少数株主に対して信任義務を負うようです。
2つ目は支配従属関係取引における利害相反。つまりMBOにおける利害相反に関する具体例が取り扱われました。
株式会社リンク・セオリー・ホールディングスに対する公開買付けの開始に関するお知らせ
上のページの「(3) 本公開買付けの実施に至る過程(公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等)」というところが講義で取り上げられました。
要はセオリーという会社がMBOをするという案件なんですが、このセオリーという会社はユニクロの子会社で柳井社長含む3名が取締役を務めているという状況だったわけです。非常に従属性が強い親子会社だったため、まず柳井さんたちは交渉からすべて外した上で、親会社も子会社も特別委員会という第3者機関を作り妥当性をチェックさせたという話です。
ちょっと状況が複雑なので、上手に書ききれてないのですが…
岩倉さん曰く、日本でここまで利害相反を回避しようとした例はないとのこと。(苦笑
ただ、そうまでしないとレックスのMBOが少数株主に訴えられたようにMBOでの利益相反というのは少数株主に損失を与えてると思われてしまうわけですねー
↓レックス事件はこちらをどうぞ。
レックス事件の東京高裁決定を読む(1)レックス・ホールディングスのMBO
近いうちにレックスホールディング事件やカネボウ事件などは、事前資料を熟読の上で概要とかをブログで書いてみようかと。いまさらですが。(笑

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