『M&Aにおいて企業価値を高めるための取締役の法的責任・行動準則』 - 一橋ビジネスレビュー56巻3号(2008年WIN.号)
を読みました。M&Aの法務の配布資料にあったのですが、なかなか面白かったです。
会社が誰のものかという議論ではなく、取締役は誰に対して責任を負うかという内容になっており、岩倉先生の主張は『取締役は長期的な観点から、グループとしての株主の利益を最大化させようとする義務がある』という株主利益最大化原則というのを主張しています。
これは社会倫理的な主張ではなく会社法の法的解釈または、現代の株式市場の要請からこうあるべきであるという主張をしたものですね。判例上もいくつか支持するものがあるようです。
日本の会社法の下での解釈では、実は株主利益最大化原則というのは絶対の解釈ではないようで、ステークホルダー全体の利益を考慮すべきという解釈もあるようです。
ところが、岩倉先生の主張ではステークホルダー論というのは、実際の企業経営においては正当性の判断が難しく、更に会社法のもとで会社経営の権利が明記されたステークホルダーが存在しないことから正当化できないと主張しています。
ドイツなどは労働者が監査役だか取締役に代表を送り込むことが会社法に明記されているので、ステークホルダー論を日本で採用するならば会社法をドイツと同様に変えなくてはならないのではないかとのこと。
M&Aの敵対的買収防衛においても買収防衛策の適法性がどうとかいう議論は不毛なのでいますぐやめて、取締役の法的責任・行動準則だけを明確にすればよいじゃないか!とも主張しています。
取締役の法的責任・行動準則さえ法的解釈が明確になれば、買収側も被買収側も取締役はどちらもグループとしての株主の利益をちゃんと考えているかだけを議論すればよいと。
防衛策自体がどうこうという議論は本来意味がなく、取締役が株主の利益を考えてしっかりと行動しているかどうかだけが大事だというのは同意ですねー
まだまだ、ちゃんと理解できてないので、この辺にしておきますが、なかなか面白い論文ですな。
逆にこの株主利益最大化原則に反論する立場の論文も読んでみたいですねー
とりあえず日本はまだ司法がしっかりとした判断基準を提示していないので、これからいろんな議論や判例が積み重なっていき解釈が確定していくのでしょうなー
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