2009/04/11

企業戦略論【上】基本編 競争優位の構築と持続

競争戦略論が物足りなかったので、欧米MBAテキストでAmazonでも評価が高かったバーニー三部作を買ってみました。

夏にはグロービスかCICOMでケースをやりたいので、基礎的な経営戦略論や組織論などは押さえておきたいですな。修士研究でも組織論や経営戦略論は使えるので。

企業戦略論【上】基本編 競争優位の構築と持続
ジェイ・B・バーニー
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 8329
おすすめ度の平均: 5.0
5 とにかくわかりやい。
5 参考書のようだ
4 名著であるが、あえて難点を
5 MBA必読・必携の企業戦略論テキスト
5 これぞ企業戦略論のテキスト




個人的な考えですが、企業戦略論の理論的背景というのは一度理解していたほうが戦略立案などに役立つと考えています。フレームワークを振り回すだけの戦略策定には意味がないので、産業構造の仕組みや組織論などをしっかりと押さえた経営戦略の理論的理解を一度しっかりとしておく必要があると思います。
そういう意味ではこの本は非常にいいですね。原書ではⅢ部構成になっていて第Ⅰ部が上巻として訳されています。
第1章は戦略とはなにかということでここでは定義が説明されます。
第2章では企業パフォーマンスを如何に測定するかということで、戦略の教科書なのにROIC、MVA、イベントスタディ、WACCなどが出てくるんですねー
ちょっとびっくりしますが、確かに企業の戦略等を評価するためにはこれらの指標は外せないわけです。他の章でもやはり全体的に実証分析を意識した表記があり、実際の企業における実証分析に裏付けられた理論という感じがします。
第3章~第5章は、SWOT分析のそれぞれの要素の分析を如何にやるかに焦点があてられます。
脅威の分析についてはポーターの5F、機会の分析についても同様に業界のステージごとにどのような機会があるかということが網羅的に解説されます。
脅威と機会の分析については産業組織論というミクロ経済学をベースにした理論展開が行われます。
もともとは如何に効率的に財を分配するか、つまり特定の企業だけに独占的に利益が上がらないように規制するための独占禁止法のような行政の立場から展開された理論のようです。それを逆手にとれば如何に特定企業が利益を上げることができるかということになるんですね。
多少経済学っぽい記述も多いですが、業界ごとの説明や個別の機会・脅威の説明などはしっかりと書いてあり、業界分析をする際の前提知識として押さえておくと非常によいと思います。
強みと弱みについては資源ベース理論という戦略論の理論に準拠した理論展開がされます。
バリューチェーン分析から企業の経営資源を特定したり、経済価値・稀少性・模倣困難性・組織の4つの要因を満たすものほど強みの程度が大きいとされます。
組織は補完的概念なのでおいておくと、価値があり稀少であり模倣困難である経営資源が持続的競争優位を維持するために必要な企業の強みとなるわけです。
まぁ全体的な理論展開などは正直実際の実務では使えないとは思いますが、業界分析や自社分析ではどのような分析が必要ななのか?業界状況ごとに考えるべきことは何か?なにを持って強みとするのか?などをしっかりと理解できるので、一度読んでおくべきかと思います。ポーターの競争の戦略よりもわかりやすいし、内容も新しいのでよいかと。
演習問題も結構よい問題が多そう。これを誰かとディスカッションするとますます理解が深まり、現実への適用性が高まる気がする。読んでるだけではもったいない…
ちなみに中下巻も読む予定ですが、『資源ベースの経営戦略論』の方が修士研究に直結しそうなのでゼミ発表のために先に読む可能性も高しです。

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