2008/04/16

金融数理の基礎 week2

本格的な数学の授業の様相を呈してきました。板書がメインで、ひさびさにノートを取り手が疲れてしまいました。

中川先生は数学出身の方なので、授業が非常に数学チックでわかりやすいですね。本人は意識してないのですが、通常の参考書などでは学生向けにあいまいにしてあるところでも、ちょこちょこと厳密に定義しながら講義していただけるので、非常に概念がクリアになり満足でした。

内容としては、まず冒頭にデリバティブの離散モデル導入には2つの方法があることが説明されました。

1つは、Cox-Ros-Rubinsteinモデルという2項モデルによるアプローチで、これは Black-Scholes方程式と同等のアプローチであり、授業ではこちらで説明されること。

もう1つの方法は、高度な線形代数を使って展開される経済学よりの数理ファイナンス。この説明で目から鱗が落ちたのは、俺がここのところ、こだわっていた状態価格の考え方が、こちらの方法であり、明確に2項モデル側のアプローチとは異なることがわかったことでした。ちなみにここでもダレル=ダフィの本が紹介されてた。よっぽど名著らしい。

その説明のあとに、2項モデルに関する諸定義について数学的に(俺にとっては)しっかりと説明がありました。特に確率測度について、(本人曰く)こだわりで補足説明をしてもらったのが、わかりやすかった。やっぱり、連続自由度だと測度論とかが重要になるのでしょうか。
基本的には1期間2項モデルで、無裁定価格づけという簡単な内容だったのですが、無裁定の数学的定義付や、線型代数表示での定義など、いままでいろいろなところでのぞき見してきた内容が統一的に理解できたので、非常に有意義な内容でした。
リスク中立確率という概念については、経済学者の解釈であり、数学としては同値マルチンゲール測度として理解した方がわかりやすいという一言で、いままでのもやもやが少し晴れました。
細かい数式などは教科書にあるため、割愛し、議論の中心だけを丁寧に説明するというスタイルなので、予習をしっかりしていった人には理路整然とわかりやすいのではないかと。
「金融派生証券の適正価格を見つける」という問題自体まで、しっかりと定義するというスタイルがいいですよねー

あまり修士論文とは関係なく、忙しくなったらでなくなる可能性がある授業と思っていたのに、予想以上に面白いのでこのままでてしまいそうですね…

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