2010/03/01

M&Aの法務(取引契約) week1-week13

この学期の頃は全然ブログを更新していなかったので、2010年末に思い出しながら書いています。

春学期に引き続き、岩倉弁護士のM&Aの法務の講義。春学期が比較的M&A全般に関する法務的トピックだったのに対し、こちらは契約書に特化したより実務的な講義。

株式譲渡契約、株式引受契約、株主間契約・合弁事業契約、合併契約、事業譲渡契約、会社分割契約、株式交換契約、株式移転契約と、ほぼすべてのストラクチャについて全13回で講義を実施。

それぞれの契約の法的位置付け、各契約に重要な条項を講義したあとに、岩倉さんが過去に取り扱った本当の実務契約書(黒入りまくりだけど)を見ながら、実際の条文を確認するというスタイルですね。

現時点で引越し後の未整理の荷物に講義資料がまざっているため、ちゃんと振り返れずに非常に残念です。実務にすごい役立つのになぁ。とはいえ、自分の中でM&A契約に関する勘所をしっかりと植えつけてくれた非常に素晴らしい講義だった。

覚えている範囲で書くと…

まずM&A契約はPricing と Allotment of Risks というのが岩倉さんの口癖。特に後者は契約書での表明保証・補償条項になり、ほぼすべての契約書でこの表明保証・補償条項は繰り返し出てきましたね。補償条項でのいろいろな契約技術、エスクローとかキャップとかも詳細に講義されました。

株式譲渡契約は、突き詰めれば相対の商取引に過ぎず、究極的には売買対象の定義と対価があれば十分な取引。だからこそ、交渉によってかなり盛り上がるわけですけどね。株主引受契約も大体一緒。

一方で株主間契約や合弁事業契約は、当事者が協力して事業を行うので、お互いの提供する事業の定義や、共同経営のやり方(意思決定ルールやデッドロックの回避など)が非常に重要。

合併、事業譲渡、会社分割、株式交換、株式移転は会社法上に定義がる法定取引なので、契約書にも一定の必須事項があるものの、結局はM&Aなので表明保証・補償条項やクロージング条項が従になります。これらの取引は法的にはなかなか面白いですね。たとえば、合併ならなぜ法人格がなくなるのかとを講義では説明されましたが、かなり面白かった。法律解釈というのは思ったよりも楽しいっすな。


岩倉先生が教科書を書いているといってましたが、春学期分のは出版されましたが、秋学期分は書かないのかなぁ…是非とも書いてほしい。

同期の実務家たちも、実際の契約書を使っての講義にかなり満足していたので、俺も数年後に受けてれば、また全然違った感想を持つことができたんでしょう。とはいえ、この講義のおかげでかなりのノウハウは身につけられたのではと思っています。

是非とも教科書を出してほしいもんです。必ず買うかと。

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