M&Aをめぐる裁判例(2)ということおで、株式買取請求権に関わる裁判例を3件ほど取り扱いました。
この株式買取請求権というのは旧商法時代もあったそうですが、新会社法での改正により注目されはじめました。
ポイントは商法における「決議なかりせば有すべかりし公正なる価格」の「決議なかりせば有すべかりし」が削除されて単なる「公正な価格」へと変更されたことになります。
これは、決議(合併、営業譲渡、全部取得条項付種類株式の取得など)後のシナジー効果も含めて、公正な価格という解釈になります。さぁ、大変です。公正な価格ってなに?裁判になったら裁判所がどう判断するの?というのが論点です。
この「公正な価格」という表現をどう解釈するのか?というのが結構識者間では議論になってるんだそうです。
同志社の松尾先生や、筑波の弥永先生のジュリストの記事がお勧めということなので、夏休み中にしっかり読み込んでおきましょう。(7月は忙しくて手がつけられず…)
講義では具体例として、レックス事件(全部取得条項付き種類株式)、カネボウ(営業譲渡)という第4回目の講義で扱った内容に加えて、日興コーディアルグループ(三角株式交換)が取上げられました。
個人的には、以前しっかりと読み込んだレックス事件の最高裁判決が出たので、そっちが気になってネットで調べてみました。
RSSリーダでいつも読んでいるビジネス法務の部屋が、やはりわかりやすいですね。あと、これまたいつも読んでいる丸の内ビジネスマンの独り言もよいです。
話はずれますが、いつもRSSリーダで読んでいるサイトと同じトピックでブログを書いているのは嬉しいものの、これらのブログの記事の品質の高さにはいつも感服しきりですよ。皆様、この記事に少しでも興味を持つような方は、上記2つのブログを読むのがお勧めです。(苦笑
しかし、両方のブログでも言及してますが企業価値研究会のMBO指針というソフトローが裁判所の判断の根拠になるというのはなんとなく意外な気がします。だって、法律じゃないんですよ?ていうか、M&A国富論でもあったけど、しっかり法律にしちゃえばいいのねぇ…
あと、どうでもいいですが、「今後の株価上昇に対する期待権」なるものが公正価格評価に盛り込まれたがすごい不満ですね。個人的には。そんな期待とかを織り込んで株価って決まるんだろうが…!
さて、岩倉先生の春学期の講義は今回で最終回です。
いままで服部さんや乗越さんから学んだ内容と重複しているとはいえ、第一線かつ大物弁護士による授業という点と、法律専門家からの講義ということでかなり勉強になる講義でした。
法律の考え方や、裁判での法解釈の方法など経営法務を学ぶ上での基礎的な部分を習得することができたと思います。
是非とも秋学期の講義も取りたいと思います!
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